排卵
       引用:https://192abc.com/

低用量ピル(経口避妊薬)の服用で、毎月訪れる月経前症候群と重たい月経痛から解放されるかもしれません。

しかし、低用量ピル(経口避妊薬)って体に悪いのではないかと悩む方も少なからずいるはずです。

低用量ピル(経口避妊薬)のメリットについてもご紹介します。

低用量ピルを服用する前に生理周期について知ろう

低用量ピル(経口避妊薬)を服用する前に生理周期について知りましょう。

低用量ピル(経口避妊薬)を服用するにあたって、まずは生理周期について詳しくみていきたいと思います。

生理周期とは、月経周期とも呼ばれ、月経開始日から次の月経開始前日までの日数で、通常25-38日間です。

この月経には、排卵も大きく関係します。

排卵日とは卵巣で大きくなった卵子が出てくることをいいます。

卵巣では周期的に卵子が作られますが、この卵子が卵管を通って子宮へ向かっていきます。

排卵日は、一概には確定できないですが、通常月経周期が安定している人は、月経13~14日目に排卵することが多く、基礎体温は、その時期が低温期の終わりになっています。

基礎体温とは、体を動かしていない最も安静な状態の体温です。

目が覚めて起き上がる前に婦人体温計を舌下に入れて測定します。

この基礎体温を、毎日同じ時間帯に測定・記録することで、月経の時期や排卵の有無、妊娠しやすいタイミングなど体の状態を把握することができるのです。

また基礎体温は、生活のリズムや測り方によって変化してしまうデリケートなデータです。

睡眠時間が4時間以下の場合は、正確な基礎体温が計測されない可能性がありますので、最低でも4~5時間以上の睡眠をとるように心がけましょう。

基礎体温グラフ
       引用:https://babymom-cherir.jp/

月経周期のばらつきが多い方は、自分で排卵日の特定をするのは困難です。

自分自身で排卵日だと思う時期に、婦人科で超音波検査を受けて、卵巣の中で育っている「卵胞」の大きさを測り、だいたい何日後に排卵するかを予測するしかありません。

月経周期の間に、女性ホルモンの指令のもと、女性の体の中ではさまざまな変化が起こり、妊娠のための準備が整えられています。

この期間中に、唯一妊娠可能な時期は排卵日前後のわずか数日のみとなります。

ただし、精神的・身体的な状況や変化,性行為などによって,排卵は前後にずれる可能性があります。

月経周期

最近では、ホルモンバランスの崩れやストレスによって、月経周期が乱れてしまったり、月経困難症の症状で悩まされている女性も増えてきています。

それにより、低用量ピル(経口避妊薬)を服用して、月経周期を整えたり、生理日の調節(生理を早めたり、遅らせたりする)をする女性も同時に増えています。

生理を早める

生理を遅らせる

ピルの服用で生理痛から解放される

低用量ピル(経口避妊薬)は避妊だけではなく、生理痛の改善にも広く使用されています。

この生理痛(月経痛)がなぜ起こり、ピルの服用でどうして改善されるのか説明します。

妊娠しなかった場合には、月経として子宮内膜は剥がされ、血液と一緒に体外へ排出されます。

この排出を促す物質が、プロスタグランジン(PG)といいます。

プロスタグランジン(PG)とは、人間の精液や羊の精囊(せいのう)腺などから得られる生理活性物質で、約10種類に分かれており、それぞれが少ない量で体の様々な機能を調節する働きをします。

血圧低下作用や、体の痛みや熱を伝える発熱・痛覚伝達作用、出血を止めるための血液凝固作用などがあり、プロスタグランジン(PG)の種類によっては相反する作用をもっています。

しかし、プロスタグランジン(PG)は、陣痛促進剤に使用されているほど、子宮を収縮させる働きがとても強いので、過剰に分泌された場合には陣痛のような強い腹痛が起こってしまうこともあります。

また、プロスタグランジン(PG)は痛みを強める・血管収縮などの作用もあり、頭痛・肩凝り・腰痛・胃の痛み・体の冷え・倦怠感・吐き気などの症状を引き起こす場合もあります。

プロスタグランジン

月経時には下痢や頭痛などの全身症状を伴うことも多くみられていますが、これもプロスタグランジン(PG)が血液中に乗って、全身に作用してしまうために起こっているのです。

これをいわゆる月経痛と呼びます。

一般的には月経困難症とも呼ばれています。

生理痛

低用量ピル(経口避妊薬)には、プロスタグランジン(PG)を抑制してくれる働きがあるため、月経困難症の症状を軽減してくれます。

さらに低用量ピル(経口避妊薬)には、子宮内膜をうすく保つ役割も果たします。

子宮内膜がうすいため、月経量が減少することで、さらに月経痛の軽減につながります。

身体的な原因(病気)が存在しないにも関わらず、月経痛の症状が強く出る場合を、機能性月経困難症と言います。

この機能性月経困難症の治療方法は、適度な運動・鎮痛剤の服用・低用量ピル(経口避妊薬)の服用が一般的です。

反対に、子宮内膜症・子宮腺筋症・子宮筋腫・子宮の奇形など、疾患がもとで起きている月経困難症を、器質性月経困難症と言います。

この場合の治療方法は、その疾患の治療ということになります。

どちらの月経困難症なのかをはっきりさせておかなければ、子宮内膜症や子宮腺筋症といいった疾患を長期間放置してしまうことにもつながるため、非常に危険です。

ただの生理痛だと自己判断をせずに、きちんと一度専門医の診察を受けることをおすすめします。

月経困難症統計
       引用:http://www.mochida.co.jp/

低用量ピル(経口避妊薬)の服用で,がん予防?!

低用量ピルは、一部のがんのがん予防にもなるという研究結果が出ています。

卵巣がんにおいては、1年間低用量ピル(経口避妊薬)を使用しただけで約5%発癌リスクが低下するとの報告があります。

卵巣がんは、卵巣が毎月の破裂と修復を繰り返すことで発現するとされ、低用量ピル(経口避妊薬)の服用によって卵巣が休息することによって、がんの発症を抑制すると考えられており、10年の使用で約50%卵巣がんのリスクが低下するといわれています。

子宮体がんにおいても、1年間以上の低用量ピル(経口避妊薬)の服用によって発癌リスクが低下することが報告されています。

さらに子宮体がんのリスクを1度低下させることができれば、その効果は20年ほど持続するという報告もあります。

予防効果は、避妊薬に含まれている卵胞ホルモン(エストロゲン)の量に左右されることはほとんどなく、出産の回数や閉経の有無、BMI、など1人1人の女性の特性にも影響されないとされています。

しかし、婦人科系のがんの中でも、乳がんの患者さんは、がんの活動が活発になってしまうことがあるとされているので、処方してはいけない(禁忌)とされています。

最近5年間に再発をしていない乳がん女性に対しては、他の適切な方法がない限りは通常勧められず、最終的には、ガイドラインでは5年以上再発を起こしていない女性患者には慎重投与とすることとされています。

乳がん検診
       引用:https://www.aflac.co.jp/

乳がんの家族歴のある方は、家族歴のない方に比べると、乳がんの発症率が高いと言われています。

低用量ピル(経口避妊薬)の服用でそのリスクが増加するということはないようですが、既往歴のある方は必ず初診時に記載して、内服を始める前には、乳がん検診を受けることをおすすめします。

OCの服用者は,がん死亡のリスクを下げる

低用量ピル(経口避妊薬)と生理痛についてのまとめ

低用量ピル(経口避妊薬)には、副作用だけではなく、良いこともたくさんあることが分かりました。

月経の周期が安定せず、生理痛が毎回ひどい、といった月経前症候群や重たい月経痛に悩まされている方は、是非一度、低用量ピル(経口避妊薬)を試してみると辛い症状から解放されるかもしれませんね。


       引用:https://news.line.me/

この記事を書いた人

Dr.X
低用量ピルによる避妊について,なるべくわかりやすく解説します.